赤沢保存車輛図鑑(3)
<営業運転用車輛>


蒸機内燃機モーターカー客車貨車営業運転用車輛


内燃機関車

■AFT-01  5t B型ディーゼル機関車
(北陸重機工業 1996)


▲2003.5.11


1996年に、保存線の営業運転用に北陸重機工業にて製造された5tDL。かつて保存線の運転にはNo.86をはじめとする酒井の5t機たちが活躍してきたが、老朽化や保守部品の枯渇などの問題に直面するに到り、思い切って専用の機関車を新製することになった。
 機関車の内容じたいは、立山砂防軌道などでおなじみ同社の標準的な板台枠・トルコン仕様の5t機だが、外観のディテールが、ごらんのように往年の木曽谷の5t機の主力であった酒井A型のそれに似せるよう、涙ぐましい?努力がなされているのが特色。
 なお、称号の“AFT”とは、“Akasawa Forest Train”の略である由。


▲AFT-01のベースになっているのは、こういう機関車だと思えば納得していただけるだろう。
国土交通省立山砂防工事事務所 管理番号4-10-201 千寿ヶ原 2003.813
 


▲天高く?そびえる排気管が目を惹くが、これは後続の客車内に排気が直接流入するのを防ぐため。
前後のエンドビームに見える白いモノは、客車の車内スピーカー引通し線用コンセントである。


▲じゅうぶんアナログ的なはずなのだが、酒井5tのと比べてしまうとじつに近代的なコクピット。

3枚とも 2003.6.28
 


▲AFT-01のサイドビュー。2009年に下記の『AFT-02』が増備されたことで予備機的扱いに。
なお、排気管の根元に付いているのはコモテック社製の黒煙除去装置(DPF)で、同社の寄贈により装着された。
2012.7.28


■AFT-02  5t B型ディーゼル機関車
(北陸重機工業 2009)


▲2012.7.28

2009年秋に増備された2輌目の本務機で、本線仕業に就くのはこちらがメインとなっている。



客 貨 車

■ボギー客車 さわら号 
(旧 こまどり号?)
<台車No.7+8(旧No.1085+1086?)>
(日本交通機械  1987)


▲雨天のため、ビニールカーテンを降ろしている。
 

■ボギー客車 こうやまき号
(旧愛称:調査中)
<台車No.3+4旧番:調査中)>
(日本交通機械  1987)


▲好天時は当然、カーテンを巻き上げフルオープンとなる。 2003.5.11
 

■ボギー客車 ねずこ号
(旧愛称:調査中)
<台車No.5+6(旧番:調査中)>
(日本交通機械  1989)


 

■ボギー客車 ひのき号
(旧愛称:調査中)
<台車No.1+2(旧番:調査中)>
(日本交通機械  1989)


 

■ボギー客車 あすなろ号
<台車No.9+10(旧番:No.1083+1084?)>
(東海交通機械  1996)


▲▼1輛だけ異彩を放つあすなろ号。窓ガラス(一段下降式)の装備と車イス用出入台が特徴。
しかしガラス張りだからといって、黒部峡谷みたいに特別料金は取られませんが(笑)


営業運転用の客車は5輛あり、すべて足回りに岩崎レール製運材台車(いわゆる後期型)を利用して車体を新製したものである。
 '87・'89年に導入された4輛はフルオープンで、悪天候時のために巻き上げ式のビニール製カーテンを備える。最新の“あすなろ号”のみ他車と仕様が異なり、妻面の乗降口部分以外を一段下降式のガラス窓としたセミクローズド構造で、車イス客対応のため川側に専用の乗降扉を有する。また、塗色も他の4輛とは若干異なっている。
 座席はいずれも、山側一人掛け+川側2人掛けの簡易な転換式クロスシート。ひのき号の丸山渡側とさわら号・あすなろ号の記念館側デッキには非常ブレーキ弁が設けられている。
 なお、現在は各々に木曽五木にちなんだ愛称が与えられているが、あすなろ号以外の4輛は以前は異なる愛称を持っていたようである(確認中)。


▲足回りは岩崎レールの運材台車流用だが、すべてデッキ床板と手スリが追加加工されている。


▲左:さわら号の車内。座席は2+1の転換式クロス。車端部天井には案内放送用のスピーカー(なんとBOSE!)を装備。
▲右:ひのき号の丸山渡側デッキに設けられた非常ブレーキ弁。下部に見える白いツル巻きコードは、スピーカー用の引き通し線。

▲写真特記以外 2003.6.28


▲▼『あすなろ号』はぞの後、台車が北陸重機で新製されたものに振り替えられている。2012.7.28


 



■運材台車

<台車No.:不明(旧番:調査中)>


▲2012.7.28

『あすなろ号』の台車振替に伴い捻出された岩崎レール製鋼製運材台車で、
積車状態としたうえでボールドウィン1号機と手を組んでの展示用に供されている。
ただしデッキは客車時代のまま。番号は塗りつぶされているため不明。
 


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●参考文献

西 裕之 『木曽谷の森林鉄道』(ネコ・パブリッシング )
小熊米雄 『日本の森林鉄道(上巻)』(プレス・アイゼンバーン)

●お役立ちリンク

上松町観光協会 赤沢森林鉄道運行情報

モデルワーゲン 木曽路日記Super Index