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木曽・関電松岡10tのアルバム
▲白川線分岐にて。1974.8 P:片岡俊夫
  
木曽の王滝森林鉄道において、脇役ながら忘れてならないのが、沿線の水力発電所の保守管理のために、運材列車の合間を縫って走っていた関西電力の列車である。
その中に、一台の風変わりなDLがいた。それがこのたび第7回軽便鉄道模型祭の記念エッチング板の題材となった、松岡産業製の10t級DLだ。足回りこそ典型的な鋳物台枠機のそれだが、車体は営林署の酒井C4に影響を受けたとおぼしきキャブフォワード・スタイルとなっているのが特徴だった。しかしいまひとつ垢抜けない姿が災いしてか、現役当時のファンには写材として不人気だったようである。
一方、製造年や導入経緯などはいまなお不明な点が多く、当機が松岡産業製であるということも後年に西 裕之氏の調査によって判明したものだという。

当ページでは、諸先輩方からご提供いただいた写真によって、現役時代の姿をご紹介したい。エッチング板の説明書に掲載したものと重複する画像もあるが、情景の参考にもなるよう、背景のトリミングを変えるなどしてある。お役立ていただければ幸いである。(text:諜邪丸)

★いずれの写真もクリックで拡大します。



▲滝越発電所構内の機関庫にて憩う松岡10t機。後方に見えるのはロータリー車(現在滝越『水交園』に保存) 1977.4 P:山廣康夫
 
 


▲1973年のシーズンまでは、キャブ正面窓下の通風孔がなく、窓下の塗り分け線もストレートであった。
背後のフラットカーは運材台車に板を渡しただけの代物。しんがりは戦前からいる正面3枚窓の旧い方の客車。大鹿停車場 1973 P:宮坂和人
 


▲この手の機関車の例に漏れず、夏場はエンジンカウルを全開にしていることが多かった。
エンジンは日野の6気筒ディーゼルを搭載、変速機はトルコン。なお、台枠左側に吊り下げられているのは予備のドローバー。大鹿停車場 1973 P:宮坂和人
 


▲大鹿のヤードに停車中の列車。貨車2輛に客車を従えた、関電の列車としてはもっともありふれた編成。また、機関車がラジエター側を先頭にしているので三浦方面への列車と判る。
なお、松岡のラジエターグリルは、羽根角度が調節可能なルーバーとなっているのが特徴。冬姿なら羽根を閉じた状態を再現するのも一興である。1974.8 P:須々木裕太
 


▲王滝本線末期における関電の列車は、山へ向かう列車は僚機の加藤7tと続行運転、空荷の上松方面は写真のように
松岡と加藤が重連で貨客車をまとめて従えて下りてくる、というパターンもよく見られた。氷ヶ瀬付近 1974.8 P:須々木裕太
 


▲三浦ダムには、王滝本線から分岐し、堤体の袂に降りるかたちで関電の引込線があった。
写真はダムを出発して王滝本線との合流点へ向けて勾配を駆け上がる列車。末尾の客車は昭和35年製の新型で、窓の大きな垢抜けたスタイル。
三浦ダム付近 1974.8  P:宮坂和人
 


▲滝越の蘇水寮分岐近くの広々とした景色の中をゆく三浦方面列車。蘇水寮へゆく支線の桟橋上からの遠望である。 1974.8 P:永澤吉晃
 
 


写真提供: 片岡俊夫/須々木裕太/永澤吉晃/宮坂和人/山廣康夫
★当ページ掲載写真の無断転載・使用を禁じます。



 
 

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